スーパーはもちろん、コンビニからドラックストアに至るまで、様々な場所で見かける健康食品。最近では特に、ダイエット向けに低糖質や高たんぱくなどをうたった商品を多く見かけるようになりました。今回は、そんな健康食品における広告表示に関する法律をご紹介します。
健康食品の広告表示は法律で規制されている
コロナウイルスの感染拡大を受け、以前にも増して健康を意識する人たちが増えてきたように思います。そんな中、免疫機能を強化させることをうたった商品にも注目が集まっています。
健康食品における広告表示には、いくつかの法律による規制があります。なぜなら健康食品は、その名の通り食品であるため、摂取することで人の体に影響を及ぼす恐れがあるほか、広告で表示されているような効果が期待できない商品が出回ることは、消費者にとって問題だからです。
健康食品の広告表示に関する3つの法律
ここからは健康食品の広告表示に関する3つの法律についてご紹介していきます。聞き慣れない法律もあるかと思いますので、各法律の名称と概要について理解していただき、毎日の生活に活かしてみてください。
景品表示法
景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」といいます。実際の商品よりも良く見せるために、偽った品質表示、価格表示、内容表示などを行うことを規制している法律でます。また、過度な景品を付けた販売を防ぎ、消費者がそれらにつられて品質の良くない商品、サービスを購入してしまうわないように規制しています。
これは健康食品についても同様のことが言えます。健康食品における過度な広告表示を規制することで、消費者の健全な消費活動を守ってくれている法律なのです。
医薬品医療機器等法
医薬品医療機器等法は薬機法と呼ばれることもありますが、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
その名の通り、医薬品や医療機器等の品質と、有効性および安全性を確保するほか、保健衛生上の危害の発生や拡大を防止したり、指定薬物を規制したり、医薬品や医療機器、再生医療等の製品の研究開発を促進したりすることを目的に制定されました。製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定められている法律です。
ここで注目したいのが、この医薬品医療機器等法は、健康食品の規制にも活用されている点です。第六十六条で「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」とされています。
一見すると、健康食品の広告表示には関係のない法律と思われがちですので、覚えておきましょう。
健康増進法
健康増進法は、国民の健康増進を図るための基本的な事項を定めた法律です。日本が高齢社会となる中で、健康の維持や生活習慣病の予防などを目的に制定されました。昨今言われてる健康寿命を伸ばし、健康的な生活をおくるための体作りや疾病予防を積極的に推進しています。
健康増進法も医薬品医療機器等法と同様、健康食品の広告表示に関する法律とは思われないかもしれませんが、第26条からは、特定保健用食品(トクホ)制度を定めています。この特定保健用食品とは、健康増進法で「食生活において特定の保健の目的で摂取するものに対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品」と規定されている食品群ことをいいます。
特定保健用食品(トクホ)制度では、食品の有効性や安全性などについて食品ごとに個別に申請し、厚生労働大臣の許可を受けると健康表示(ヘルスクレーム)と特別の許可マークが表示できます。この制度は、国として食品に健康表示を許可する世界で初めての制度で、今では多種多様な用途、成分の商品があり、健康食品にも多く取り入れられています。
健康増進法第65条第1項には、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(以下「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」という規定されており、誇大広告の表示が禁止されています。
特定保険用食品(トクホ)について詳しく知りたい方はこちらの記事もチェック!
特定保健用食品(トクホ)の食品
健康食品の広告表示で気をつけるべき3つのポイント
健康食品の広告表示で気を付けるべきポイントを3つご紹介します。
1.特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品は別物
機能性表示が可能な食品として、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3つがあります。健康食品のパッケージなどで見かけたことのある方も多いのではないでしょうか?
この3つの違いについては以下の表の通りです。こちらを見ていただけると、取得難易度、国から認証を受けているか否か、含まれている成分、表示方法などに違いがあることが分かります。それらを知った上で、自分に合う健康食品を選べるようにしましょう。
2.栄養成分表示など、詳細を確認
健康食品を買うとき、まず目に飛び込んでくるのがキャッチコピーだと思います。〇〇という効果が期待できます、〇〇不足に効果的ですなど、魅力的な言葉が並んでいますが、そんな時に思い出してもらいたいのが、詳細を確認することです。
商品の裏面などに書かれてある栄養成分表示などを参考にし、どんな成分がどれくらいの量入っているのかを確認しましょう。合わせて、その成分が、体の中でどのような働きをするのかついて知る姿勢も大切です。
キャッチコピーに踊らされるのではなく、自分の目で見て、自分の目的や体に合った健康食品を選べるようにしましょう。
3.嘘や誤認につながる広告には要注意
景品表示法や健康増進法では、健康食品の虚偽広告、誇大表示を禁止しているとお伝えしました。しかし、中にはそれを無視する悪質なケースも見受けられます。
例えば、医師による診断がないにもかかわらず「ガンが治る!」とする商品があった場合、消費者に病気が治るという誤認を与えるだけでなく、治療の機会を逃したり、病気を悪化させたりする恐れがあります。また、個人差があるにもかかわらず「必ず痩せる!」とする商品があった場合、このような表示は消費者に誤解を与えてしまいかねません。
このような健康増進法上の虚偽・誇大表示や、景品表示法上の優良誤認表示に該当する宣伝は、禁止の対象となっています。ただ、これらの法律の規定は、特定の文言や表現等を一律に禁止するものではなく、その適用は表示全体の訴求内容により判断されています。
そのため、消費者である私たちは自分の目でm着て判断する力を養う必要があると言えるでしょう。必ず、最高、一番、などといった文言を使っている健康食品には、十分注意する必要があると言えます。魅力的な言葉に安易に踊らされないように注意しましょう。