年度替わりに、理解が消えていく

もうすぐ4月です。この時期になると少し考えることがあります。自分たちの仕事は、ちゃんと組織に残るものになっていただろうか、と。マーケティングの話というよりも、組織の話かもしれません。

去年の春に起きたこと

去年の春、いくつかの検討案件が止まりました。きっかけは人事異動でした。

パターンはそれぞれ違いました。前任者と後任者で関心のあるテーマが違っていたケース。予算ごとリセットされたケース。担当者ではなく上長が変わり、方針自体が見直されたケースも。

異動というのはそういうものだから、いたしかたないのか?もやもやするものがありました。

「エビデンスはあるのに届かない」を一緒に超えていく仕事

腸活マーケティングの難しさの一つは、「エビデンスはあるのに、生活者に届かない」というギャップがあることです。成分の機能性はエビデンスがある。でも、それをそのまま伝えても、伝わらないし、生活者の行動は変わらない。エビデンスと生活者のインサイトを掛け合わせて、「この商品なら、こういう届け方がいいのではないか」を一緒に見つけていく。その過程に、まだ定番の型がありません。

企業ごとに、ブランドごとに、一から考える必要がある。だからこそ、担当者と一緒に「なぜこの切り口なのか」「なぜこのターゲットなのか」を議論しながら進めていくことが多いです。

ただ、この「一緒に議論しながら進める」こと自体が、引き継ぎを難しくしている面もあるかなと思いました。

情報だけ渡しても届かない。それは企業との間でも同じだった

腸活マーケティングに関わっていて日々感じるのは、商品の良さを生活者に届けるには情報を渡すだけでは足りないということです。「自分ごと」として届く形をつくっていく必要がある。

そしてまったく同じことが、自分たちとクライアントの間でも起きていた。「なぜこの切り口なのか」「自社のブランドにとって腸活はどういう意味があるのか」。一つひとつ確かめながら共通認識をつくっていく。その過程があるからこそ、「エビデンスはあるのに届かない」を超えていける。

前回のコラムで「売上は、理解の後に来る」と書きました。年度替わりでリセットされがちなのは、施策の進捗よりも、この「一緒に考えてきた理解」のほうなのかなと。

これは生活者との間でも同じなのではないか

そしてこの構造は、社内の話だけではないかもしれません。

生活者との関係にも、同じことが言えるように思います。PRやコンテンツを通じてコツコツと積み上げてきた「このブランドは腸活にいい」「自分に合いそう」という理解。これもまた、発信を止めた瞬間に少しずつ薄れていく。

積み上げには時間がかかるのに、失われるのははやい・・。腸活マーケティングに関わっていると、この納得感構築の難しさをいつも感じます。

今週は、そんなことを考えていました。


田口のひとりごと
ヘルスケアマーケティングの現場から

ウンログ代表田口が、商談の現場で感じたことや、うまくいった/いかなかった話しを、少しだけ言葉にしてみるコラムです。

【田口 敬 プロフィール】
ウンログ株式会社 代表取締役。
マーケティングコンサル、新規事業立上げ、Webエンジニアを経験し、2012年にウンログアプリを個人開発しリリース。2013年にウンログ株式会社を設立。ユーザー起点のたのしくわかりやすいUI/UX開発と確かな腸活情報発信にこだわり120万DLを突破。現在まで300社以上の食品メーカーの腸活マーケティングを支援。