今週、いくつかの企業様と話す中で、
同じ言葉を何度か聞きました。
「マス向けに広げたいんです」
扱っている市場は、決してニッチなものではありません。
むしろ、生活と密接につながっている大事な領域です。
それでも、こう続きます。
「なかなかマスに広まらなくて」
「競合は別の切り口で広がっていて」
「うちはこのままでいいのか、不安です」
この“マスに広げたい。でも難しい”というジレンマ。
大手であればあるほど、強く感じているように思います。
マスを取りにいく、という発想
大手ほど、目線はマスに向きます。
市場規模。
リーチ数。
広く届けたい。
それは自然なことです。
ただ、その一方で、今取り組んでいるテーマは、
まだ十分に認知や理解が広がっているとは言い切れない。
関心のある人には届く。
でも、関心がない人にはまだ遠い。
その状態で「マスを取りたい」と考えると、
“マスに刺さる訴求は何か?”と、
表現の工夫を探し始めます。
そしてその裏には、
「早く結果を出さなければ」という
組織の時間軸もあるのかもしれません。
競合が伸びている、という焦り
市場を見渡すと、
競合は別の文脈で広がっている。
広告も積極的。
検索も伸びている。
それを見ると、立ち位置が揺らぐ。
「この訴求のままでいいのか」
「もっと一般的な切り口に寄せるべきか」
そんな迷いが生まれるのも自然です。
でも、ここで少し考えたい。
その成長は、
“テーマそのもの”が広がっている成長なのか。
それとも、“別の文脈”が広がっている成長なのか。
そこは、分けて考える必要があるのではないか。
市場は、すでに出来上がっているものだろうか
マスに広げたい。
でも、マスの側に
そのテーマを受け取る土壌は、
どれだけあるだろう。
もし土壌がまだ十分でないなら、
必要なのは強いコピーではなく、
理解を広げる時間かもしれません。
いきなり“マス”を取りにいくのではなく、
まずはすでに違和感を持っている人たち、
関心の芽がある人たちの中で
しっかりと“当たり前”にしていく。
そうやって小さな共感が積み上がった先に、
結果としてのマスがある。
そんな順番もあるのではないでしょうか。
大手だからこそ、できること
市場を育てるというのは、
一社だけでできることではありません。
理解を広げる発信。
生活者との接点づくり。
共感が生まれるストーリー設計。
そうした積み重ねがあって、
テーマは“特別なもの”から
“当たり前の選択肢”になっていく。
広告費や影響力を持つ企業だからこそ、
市場を取りにいくのではなく、
市場をつくる側に回るという選択肢もある。
その挑戦を、
戦略から一緒に設計できたらと思っています。
最後に、ひとつだけ問いを
もし今、
・マスに広げたい
・でも浸透しない
・競合の動きに揺れている
そんな状況にあるとしたら、
こんな問いを置いてみてもいいかもしれません。
「私たちは、“今ある需要”を取りにいこうとしているのか。
それとも、“これからの需要”を一緒につくろうとしているのか。」
市場は、出来上がっているものではなく、
誰かが育てるものです。
大手だからこそ、
市場をつくり、その中心に立つ。
そんな選択肢も、あるのかもしれません。
今週は、そんなことを考えていました。

田口のひとりごと
ヘルスケアマーケティングの現場から
ウンログ代表田口が、商談の現場で感じたことや、うまくいった/いかなかった話しを、少しだけ言葉にしてみるコラムです。
【田口 敬 プロフィール】
ウンログ株式会社 代表取締役。
マーケティングコンサル、新規事業立上げ、Webエンジニアを経験し、2012年にウンログアプリを個人開発しリリース。2013年にウンログ株式会社を設立。ユーザー起点のたのしくわかりやすいUI/UX開発と確かな腸活情報発信にこだわり120万DLを突破。現在まで300社以上の食品メーカーの腸活マーケティングを支援。


