ある作家の言葉
作家の朝井リョウさんのインタビューを見ていて、印象に残った話がありました。
デビューの頃、先輩作家から「自分が話したいことを話してるからつまらないのよ」と言われたそうです。本当に伝えたいテーマがあるとき、それをそのまま書くと、むしろ届かない。だから朝井さんは、間口の広い入り口を用意しておいて、本当に読んでほしいことは奥に置く「二層構造」で小説を書くのだと。
この話を聞いたとき、自分も言いたいことをそのまま言って、伝わらないことを相手のせいにしていた事があるなと、ちょっとドキッとしました。
エビデンスは届かない
あるメーカーさんと素材の訴求について話していたときのことです。画面共有で見せていただいた資料には、研究データがびっしり並んでいました。メカニズムの図解もきれいに整理されていて、素材への愛情と、ここまで積み上げてきた研究チームの努力がよく伝わってくる資料でした。
でも、ご本人も薄々感じていらっしゃるようでした。「これをこのまま伝えようとしても、たぶん伝わらないんですよね」と。
エビデンスを積み上げてくれている研究開発の方々がいるからこそ、いい商品が生まれ、エビデンスがあるからこそメディアが取り上げてくれる。その仕事は間違いなくすべての出発点です。
ただ、生活者に伝わる最後の一歩は、ロジックとは別のところにあることが多いと思います。「あの人が使ってるから気になる」「試したらなんかよかった」。そのくらいシンプルな実感のほうが、行動につながりやすかったりします。
意図が見えると、覚める
朝井さんはこうも言っていました。意図が見えた瞬間に、読者は覚めてしまう、と。「この人、こういうことが言いたくてこの話を書いたんだな」とわかった瞬間に、気持ちが離れる。
マーケティングでも同じことが起きます。「自社の商品を売りたいから、こういう文脈を作ってるんだな」と透けて見えた瞬間に、生活者は引いてしまう。
伝えたいことほど、直接言わない。体験や文脈という「器」に包んで、生活者が自分で気づく余白を残す。
一人で考えていても、わからない
正直に言うと、私たちも同じ壁にぶつかっています。ウンログのサービスを伝えるとき、つい「こんなこともできます、あんなこともできます」と並べたくなる。でもそれでは伝わらない。
じゃあどうすれば伝わるのか。これは一人で考えていても限界があるな、と最近つくづく感じています。
結局、生活者に当ててみないとわからないんですよね。こういう切り口ならどうか、この言い方なら響くか。仮説を立てて、実際に当てて、反応を見て、磨いていく。その繰り返しでしか、伝わる形には近づけない。しかも、変化が早すぎて去年うまく行った事が今年もうまくいくとは限らない。その寿命的なものも短命になってきていると感じています。
ウンログには、腸活を毎日実践している生活者がいます。その人たちに当てながら一緒に悩んで、一緒にトライしてみませんか。そういう関わり方が、いちばん良い伝え方を見つける近道なんじゃないかと思っています。
今週のひとりごとでした。

田口のひとりごと
ヘルスケアマーケティングの現場から
ウンログ代表田口が、商談の現場で感じたことや、うまくいった/いかなかった話しを、少しだけ言葉にしてみるコラムです。
【田口 敬 プロフィール】
ウンログ株式会社 代表取締役。
マーケティングコンサル、新規事業立上げ、Webエンジニアを経験し、2012年にウンログアプリを個人開発しリリース。2013年にウンログ株式会社を設立。ユーザー起点のたのしくわかりやすいUI/UX開発と確かな腸活情報発信にこだわり120万DLを突破。現在まで300社以上の食品メーカーの腸活マーケティングを支援。



